私たちの歯は、まず乳歯が生え、その後、永久歯へと生え代わっていきますが、その際の順番や時期はおおよそ決まっています。
最初の乳歯は、生後6か月から8か月にかけて下の中央の歯(乳中切歯)、その後、上の乳中切歯のが生えてきます。そして、少し遅れて隣の乳側切歯や、相対する上の乳側切歯が生えてきます。1歳半くらいになると1本離れたところに奥歯の第1乳臼歯、2歳までには乳側切歯と第1乳臼歯の間に乳犬歯、最後に一番後ろの乳歯である第2乳臼歯が2歳半から3歳頃にかけて生えて、合計20本の乳歯となります。
永久歯が生え始めるのは、6歳前後からとなります。今までは、6歳臼歯と言われる下の第1大臼歯が最初に生えると言われていましたが、最近では、下の乳中切歯の方が早く生え代わる場合も多いとされています。それから6か月から1年くらい経つと、その横の側切歯や上の中切歯が生え代わり、さらに数か月後には上の側切歯が生え代わります。9歳から12歳くらいには、側方歯群と呼ばれる乳犬歯、第1乳臼歯、第2乳臼歯が生え代わり、さらに、これらの歯の一番後ろに12歳臼歯と言われる第2大臼歯が生えます。人によっては20歳頃から、さらに後ろに親知らず(第3大臼歯)が生える場合もあります。
個人によって多少の前後はありますので、全体的に早かったり遅いのは問題にはなりません。しかし、平均より4〜5年以上ズレがあったり、左右の同じ歯の交換時期が1年以上異なる場合は一度専門機関で相談してみたほうがいいでしょう。
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早期治療の考え方
早期治療をされているご家族が思う疑問の一つとして、「歯並びにガタガタがあっても放置する場合がある」ということでしょう。特に、経過観察中の方で、スプリントなどの調節ばかりしている時は、歯並び自体は何も良くなっていないように感じられることもあるでしょう。しかし、それには理由があります。
矯正治療は、乳歯列〜混合歯列での治療(早期治療)と、永久歯列の治療(本格治療)の2段階に分けて行っています。早期治療では、この時期にしか出来ない顎のアンバランスを改善したり、大きさの問題を解決していきます。そして、永久歯に生え替わり、成長が落ち着いたら、本格治療としてマルチブラケット装置などを用いて歯並びの問題を解決していきます。
お子様の場合、骨格の成長や永久歯への生え変わりなどがあり、早期に治療を行っても後々また問題が再発する可能性もあります。早期治療を始めるにあたっての大原則は、治療期間や本人の負担をなるべく軽減するために「後からでも改善できることはあまり早くから介入しないこと」とされています。また、そのまま放置しておくと今後悪影響が出ると考えられるものに関しては、早めに対処していく必要があるでしょう。
スプリント治療
歯並びに凸凹があったり、傾いたり、曲がってる歯、他の歯より早くぶつかる歯があると、自然と強く当たるのを避けるため、本来、下顎をそのまま閉じてきたときに咬む位置とずらしたところで咬む習慣がついてしまっています。これは、無意識に行っている場合がほとんどで、ずらして咬む期間が長ければ長いほど、顎関節に相当の負担がかかっていることでしょう。
そのため、当院では、治療をされる方の多くは、まずスタビライゼーション型の「スプリント」というマウスピースの装置を使っていただいています。治療を早く進めたいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、安定していない状態で歯を綺麗に並べたり、噛み合わせが良くしても、治療後に後戻りや咬み合わせがずれてくる可能性があります。特に精密検査で、顎関節になんらかの問題があると考えられる人には欠かせない治療となっています。
治療方法としては、お口の型取りをし、それをもとにその方に応じた装置を作り、月に1回通院時に均等に噛めるように削って調節していきます。その結果、顎関節が安定し、顎や首、肩などの違和感が消えていく人もいます。
治療期間は長くかかりますが、顎の状態を考えて治療していくことは大切だと言えるでしょう。
抜歯が必要な理由
歯科矯正というと抜歯をするというイメージがあると思います。誰もが健康な歯を抜くことに対して抵抗があることと同様、矯正歯科医も出来れば歯を抜かないで治療したいと考えています。しかし、顎の大きさ、歯の大きさ、上下の顎の位置関係、口元はその人によって異なり、その方に応じた治療方針を選択する中で、抜歯という選択肢が出てきます。
抜歯をお願いする主な条件は以下の3つとなります。
1つ目として、歯が大きく、顎が小さいなど、歯と顎の大きさがアンバランスなことが挙げられます。ある程度は、顎や歯並びを拡大することは出来ますが、大きさのアンバランスの度合いが大きい場合は、歯を並べるスペースを確保する必要があります。
2つ目として、咬み合わせのズレがある場合です。たとえば、上顎前突や下顎前突の場合では前突した歯を後ろに下げるために抜歯で改善していきます。
3つ目として、横顔を見た時に、口元が出ている、口が閉じにくい、口を閉じるとオトガイに梅干しのようなシワができるときです。口元は、歯の位置に関係しており。前に出ていたり、閉じにくい場合には、抜歯をすることによって、歯を後ろに下げることが出来たり、唇が閉じやすくなるでしょう。
これらの理由から、他の歯に悪い影響を及ばさないためにも抜歯をする可能性があることにご理解、ご協力を頂ければと思います。
保定装置
「装置を外したのに、また装置を使うのですか?」よく聞かれる質問の一つです。矯正装置をつけ、歯並びを綺麗に治したら終わり、と思われがちですが、実はそうではありません。
装置を外すと「後戻り」と言われる、元の位置に戻ろうとする働きが起こりますが、その程度を最小限に押さえたいですよね。そのため、マルチブラケット装置を外した後、「リテーナー」とよばれる保定装置を使って頂いています。当院では、下顎は固定式のフィックスリテーナーとよばれる前歯の裏側6〜8本に針金をつけるもの、上顎は可徹式のベッグタイプのリテーナーを使って頂くことが多いです。治した後の歯の位置をそれぞれの生体機能となじませることで、最終的には新しい歯の位置でしっかり噛むことができるようにするため、最初の1、2年は歯磨きと食事以外の時間は使用して頂くようお願いしています。その後は、少しずつ使用する時間を減らしていきます。
また、この保定装置ですが、歯を動かしていた期間の2倍はそのままつけておくことをおすすめしています。希望があれば撤去することも出来ますが、その場合、せっかく治した歯並びが乱れる可能性もあるため、できる限り長期間使用する方が良いでしょう。
金属アレルギー
アレルギーとは、いろいろな物に反応して発症し、炎症を起こすことです。近年では、さまざまなアレルギーを抱えてる人が多く、花粉、ハウスダスト、食べ物、金属、薬物などがよく聞かれます。その中でも金属アレルギーは矯正治療を行う上で注意が必要です。
矯正治療では、ブラケットやワイヤー、バンドなどの金属材料を使って進めますが、その中には、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、金、銀、銅、鉄などが含まれています。
金属アレルギーがあると、矯正治療は出来ないように思えますが、必ずしもそうとは限りません。矯正装置の種類は多く、その方に応じてアレルギーが出にくい装置を使って行います。そういった治療を行うためにも、当院では初診の際に書いて頂く問診票の中にアレルギーについてお伺いする項目を設けています。また、単に金属アレルギーといっても、患者の体質に合わない金属はどういう種類なのかは分からないため、パッチテストを行ってもらうこともあります。
もしアレルギーをお持ちで矯正治療を考えている方は、一度ご相談下さい。
歯が動く仕組み
矯正歯科治療では、正しい咬み合わせにするため、歯を動かしていきます。その際、歯を並べるスペースが足りないと並べることは出来ませんので、必要に応じて抜歯をお願いしています。なお、抜歯したからといってそのスペースがそのままになることはありません。マルチブラケット装置などを使い、その隙間を閉じていきます。
歯と歯を支えてる骨(歯槽骨)の間には、歯根膜とよばれる繊維性結合組織があります。歯根膜は一定の幅を維持しようとするため、動かしたい歯を矯正装置を使い、力を加えてやるとその歯根膜が伸縮します。縮んだ方は、骨を吸収していき、反対に伸びた方は骨を作っていき、元の幅に戻そうとします。その動きが歯を動く仕組みとなっています。これは歯が、骨の中を通って自然に生えてくるときも同様な骨の変化がみられます。歯が動いている時には、痛みなどが出る場合がありますが、3日〜1週間ほどすれば治まってきますので、その間は柔らかい物を食べるなどしておいた方が良いでしょう。
加える力の大きさや方向を十分考慮しながら無理なく動かしていくため、治療期間も長めにかかってしまいますが、綺麗な歯並びにするためには必要な期間となりますので頑張っていきましょう。
顎変形症
咬み合わせの異常の原因として、歯が原因のもの以外にも、顎の骨と歯が原因のものがあります。それは、顎変形症といわれており、上顎または下顎のどちらか、あるいは、その両方が骨格的に前に突き出ている、引っ込んでいる、ゆがんでいる状態のことをいいます。これは歯の矯正治療だけで治すのが困難であり、それに加えて顎の骨を移動させる手術が必要となります。しかし、下顎の成長が落ち着いていない時にやると、後戻りをしてしまう可能性があるため避けておいた方が良いとされています。
手術は、基本的に口の中から行うため、顔の方に傷が残ることはありません。ただ、術後は腫れたり、口が開けれないため食事をしづらかったり、喋りにくいといったことが起こってきます。そのため、1ヶ月ほどは安静にしておいていただければと思います。
顎変形症の治療は咬み合わせの改善が一番ですが、治療後には、顔の変形も改善されます。歯並びや咬み合わせだけでなく、顎の形を気にされている方は、一度専門機関での相談をしてみるのも良いでしょう。
歯科矯正用アンカースクリュー
歯科矯正用アンカースクリューとは、上顎や下顎、口蓋(口の中の上側の壁)にピアスのような小さなネジをつけることです。叢生の度合いが大きかったり、垂直的な問題が大きく、通常の装置だと解決しない、歯の移動距離が著しく大きい、ヘッドギアの使用が困難または効果が少ないなどの問題を抱えている方にさせて頂いています。
装着時には歯科用麻酔をしたり、痛み止めを服用して頂くのでほとんど痛みはありません。しかし、10〜20%前後は失敗するリスクがあり、装着後の治癒が悪く、感染を起こし動揺や脱落することがあります。その際には、一度撤去し、別の方法を用いて治療を進めたり、再度装着させて頂いています。
メリットとしては、通常の矯正治療では困難な動的処置が可能になったり、顎関節との調和を極めて厳密に精度の高い咬み合わせに仕上げることの出来るなどといったことがあります。また、マルチブラケット装置を撤去する際に一緒に撤去させて頂き、外した跡はほとんど残りません。そのため、必要性がある場合には積極的に検討してみる価値はあると言えるでしょう。
歯磨き
私たちは、個人差はあるものの毎日歯磨きをしています。その際、正しい方法で歯磨きをしないと効果がないだけでなく、歯や歯茎を傷つけてしまうこともあります。そこで、今回は磨く順番と磨き方についてお話しさせて頂きます。
まず、磨く順番は、「グルリ1周方式」といわれる、下の歯の裏側→上の歯の裏側→上の歯の表側→下の歯の表側→奥歯の咬み合わせ部分の溝の順番で磨くと磨き残しも減らせます。磨き方は、歯ブラシを軽く鉛筆を握るように持ち、歯ブラシの毛先を優しく当て、軽く小刻みにブラッシングしましょう。その際、歯の1本1本を円を描くように磨くのがコツです。
お子さんの場合には、最低でも小学校低学年頃(6歳臼歯が生える)までは、仕上げ磨きをしてあげるようにして下さい。毎食後に出来るのが理想ではありますが、なかなか難しい場合には、1日1回、夜寝る前に行うと良いでしょう。特に、固定式の矯正装置がついていると磨きにくくなりますので、鏡を見ながら時間をかけて丁寧に磨くなど口腔内を清潔に保つようにしておいて下さい。









