クラブ活動と矯正治療(吹奏楽部編)

管楽器の場合、歯や唇も楽器の一部といってよいので矯正治療との両立へのご質問は多く寄せられます。一口に管楽器といってもどのように音を出すかによって影響は様々です。フルートのような木管楽器やまたはマウスピースの大きいトランペットのような楽器は、吹きづらさは大変大きいですが矯正治療を行う立場では支障が少ないかもしれません。シングルリードのクラリネットやサキソフォンは前者に比べて演奏では困らないかもしれませんが、矯正治療が少し難しくなる場合もあります。
いずれも練習すれば矯正治療中でも演奏はできるようになります。しかし、マルチブラケットと呼ばれる装置がついた状態は、今まで演奏ができていた人にとっては口や唇にずいぶん違和感を覚えるでしょう。一方、矯正装置が着いている事に慣れていた人が、装置撤去後に楽器が吹けなくなる可能性もあります。両者がすぐに今まで通りの演奏が出きるかは個人差があり、慣れるための時間が必要です。コンクール前などの大切な時期には新しく矯正装置を着けたり、外したり、お口の中の大きな変化を避けるというのも両立するための手段としてあるでしょう。
最近では管楽器の指導教官が歯並びやあごを見て楽器を選ぶ際に生徒にアドバイスをしたり、よりよい音を出すため歯並びを治すことを勧める事もあるそうです。

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クラブ活動と矯正治療(運動部編)

基本的には、学校のクラブ活動などのスポーツをするのに、矯正治療が妨げになることはほとんどないと思われます。ただ格闘技などで顔面や口元を強打したときに、矯正器具で口の中が切れるといったアクシデントはたまにあります。しかし矯正器具のおかげで顔を打った時の力が分散されて歯が折れずにすんだケースや、歯が矯正器具によってあらかじめ固定されている様な状況になっているため、脱臼した歯が脱落をまぬがれる事もあり、マイナス要因の方が大きいとは言い切れません。スポーツの種目によってはマウスガードの使用が推奨されていますが、矯正治療中でも使えます。
しっかりしたかみ合わせは身体のバランスがとりやすくなるため、瞬発力アップにも役立ちますし良いかみ合わせが脳への刺激にもなり集中力や忍耐力を高めてくれます。スポーツ中、矯正装置がついているのが煩わしいという考え方もあるでしょうが、歯並びやかみ合わせをよくするための一時的なものですから、長い目で見て矯正の期間をより快適に楽しく過ごしていただければと思います。

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幼児の歯列矯正

乳歯はいずれ生えかわるから、虫歯になってもどんなかみ合わせでも、将来の歯並びには関係ない…わけではありません!
最近は1才半や3才児検診でもかみ合わせをチェックする項目がありますので、以前に比べて幼児の保護者の意識は高くなっているといえるでしょう。
子供の矯正は4〜9才のスタートが良いといわれます。ただ、治療ですから精密検査をしたり家で矯正装置を毎日使ったり、定期的に歯医者に通い先生やスタッフとコミュニケーションがとれ、装置の必要性を理解して実践できる精神年齢の発達も大切になってきます。幼児の時期の肉体的・精神的な成長は個人差も大きいですから、気になることがあればまず相談をしてみるのが良いでしょう。今すぐの治療ではないかもしれませんが、現在の問題点の把握をして将来の展望を知っておくことは子供の成長への理解をより深めることでしょう。
この写真は3才のお子さんです。下顎が上顎より前に出ている反対咬合(受け口)です。こちらのケースでは早期の治療が望ましかったことと、本人とご家族のご協力が得られましたので3才から治療開始し、マウスピースの使用後2ヶ月で反対咬合は改善されました。

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成長期を利用した子どもの矯正

 “子どもの矯正”と“大人の矯正”の大きく違うところは、子供が成長期であることを利用して口の周りの骨のコントロールが出来ることです。骨格標本をよーく観察すると、頭の骨にいくつものギザギザの線が見えます。このつなぎ目のところでは、矯正の装置を適切に使うことによって成長を促進させることができます。ただ、身長も短期間で伸びる訳ではないように「自然の成長をいかす」治療ですから数年計画で矯正の治療を進めていきます。通院の頻度は治療内容によっても変わってきますが矯正装置の調整や成長観察などを交えながら1〜6ヶ月に1回程通うことになります。
 主に小学生のこの時期は、大人の歯への生え替わりの時期でもあり発音や咀嚼(かむ事)の完成期。顎の関節やかみ合わせに問題がある場合は、身長がぐっと伸びる小学校高学年から中学生にかけて顎のズレが大きくなることがあります。
 より良い発音やかみ合わせのためにも成長期の治療が望ましいといわれています。

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