早期治療の考え方

早期治療をされているご家族が思う疑問の一つとして、「歯並びにガタガタがあっても放置する場合がある」ということでしょう。特に、経過観察中の方で、スプリントなどの調節ばかりしている時は、歯並び自体は何も良くなっていないように感じられることもあるでしょう。しかし、それには理由があります。
矯正治療は、乳歯列〜混合歯列での治療(早期治療)と、永久歯列の治療(本格治療)の2段階に分けて行っています。早期治療では、この時期にしか出来ない顎のアンバランスを改善したり、大きさの問題を解決していきます。そして、永久歯に生え替わり、成長が落ち着いたら、本格治療としてマルチブラケット装置などを用いて歯並びの問題を解決していきます。
お子様の場合、骨格の成長や永久歯への生え変わりなどがあり、早期に治療を行っても後々また問題が再発する可能性もあります。早期治療を始めるにあたっての大原則は、治療期間や本人の負担をなるべく軽減するために「後からでも改善できることはあまり早くから介入しないこと」とされています。また、そのまま放置しておくと今後悪影響が出ると考えられるものに関しては、早めに対処していく必要があるでしょう。

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ののやま矯正歯科医院

スプリント治療

歯並びに凸凹があったり、傾いたり、曲がってる歯、他の歯より早くぶつかる歯があると、自然と強く当たるのを避けるため、本来、下顎をそのまま閉じてきたときに咬む位置とずらしたところで咬む習慣がついてしまっています。これは、無意識に行っている場合がほとんどで、ずらして咬む期間が長ければ長いほど、顎関節に相当の負担がかかっていることでしょう。
そのため、当院では、治療をされる方の多くは、まずスタビライゼーション型の「スプリント」というマウスピースの装置を使っていただいています。治療を早く進めたいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、安定していない状態で歯を綺麗に並べたり、噛み合わせが良くしても、治療後に後戻りや咬み合わせがずれてくる可能性があります。特に精密検査で、顎関節になんらかの問題があると考えられる人には欠かせない治療となっています。
治療方法としては、お口の型取りをし、それをもとにその方に応じた装置を作り、月に1回通院時に均等に噛めるように削って調節していきます。その結果、顎関節が安定し、顎や首、肩などの違和感が消えていく人もいます。
治療期間は長くかかりますが、顎の状態を考えて治療していくことは大切だと言えるでしょう。

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抜歯が必要な理由

歯科矯正というと抜歯をするというイメージがあると思います。誰もが健康な歯を抜くことに対して抵抗があることと同様、矯正歯科医も出来れば歯を抜かないで治療したいと考えています。しかし、顎の大きさ、歯の大きさ、上下の顎の位置関係、口元はその人によって異なり、その方に応じた治療方針を選択する中で、抜歯という選択肢が出てきます。
抜歯をお願いする主な条件は以下の3つとなります。
1つ目として、歯が大きく、顎が小さいなど、歯と顎の大きさがアンバランスなことが挙げられます。ある程度は、顎や歯並びを拡大することは出来ますが、大きさのアンバランスの度合いが大きい場合は、歯を並べるスペースを確保する必要があります。
2つ目として、咬み合わせのズレがある場合です。たとえば、上顎前突や下顎前突の場合では前突した歯を後ろに下げるために抜歯で改善していきます。
3つ目として、横顔を見た時に、口元が出ている、口が閉じにくい、口を閉じるとオトガイに梅干しのようなシワができるときです。口元は、歯の位置に関係しており。前に出ていたり、閉じにくい場合には、抜歯をすることによって、歯を後ろに下げることが出来たり、唇が閉じやすくなるでしょう。
これらの理由から、他の歯に悪い影響を及ばさないためにも抜歯をする可能性があることにご理解、ご協力を頂ければと思います。

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保定装置

「装置を外したのに、また装置を使うのですか?」よく聞かれる質問の一つです。矯正装置をつけ、歯並びを綺麗に治したら終わり、と思われがちですが、実はそうではありません。
装置を外すと「後戻り」と言われる、元の位置に戻ろうとする働きが起こりますが、その程度を最小限に押さえたいですよね。そのため、マルチブラケット装置を外した後、「リテーナー」とよばれる保定装置を使って頂いています。当院では、下顎は固定式のフィックスリテーナーとよばれる前歯の裏側6〜8本に針金をつけるもの、上顎は可徹式のベッグタイプのリテーナーを使って頂くことが多いです。治した後の歯の位置をそれぞれの生体機能となじませることで、最終的には新しい歯の位置でしっかり噛むことができるようにするため、最初の1、2年は歯磨きと食事以外の時間は使用して頂くようお願いしています。その後は、少しずつ使用する時間を減らしていきます。
また、この保定装置ですが、歯を動かしていた期間の2倍はそのままつけておくことをおすすめしています。希望があれば撤去することも出来ますが、その場合、せっかく治した歯並びが乱れる可能性もあるため、できる限り長期間使用する方が良いでしょう。

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