キレイな歯並びで笑顔美人

一昔前のサッカーワールドカップで、諸外国の人が日本人と他国のアジア人を見分ける方法は「悪い歯並び=日本人」だったという残念な話を聞いたことがあります。

「八重歯」や「乱ぐい歯」は歯がでこぼこに生えている歯並びで、例えば現代っ子に多い“小さな顎に大きな歯“が並ぼうとした結果で起こってしまいます。八重歯はこれまでの感覚では好意的な見方もありましたが、国際化が進み予防や歯の美しさへの意識が高まった昨今「できればキレイな歯並びがいい」「不正咬合は治療しないといけない」「どの程度の歯並びだと治療が必要?」と関心のある人の方が多くなってきました。

クラスに矯正をしている子は誰もいないのが当たり前だった時代もありましたが、今の小学生はクラスに数人は矯正治療をしているような状況になってきています。お友達が矯正治療をしていれば、これから治療始めるお子さんも安心できるかもしれませんね。キレイな歯並びの笑顔美人が今後きっと増えていくでしょう。矯正専門医としても矯正治療を通じて笑顔の輪が広がっていくのがとても楽しみです。

20150407150744

抜歯症例

大きな歯に小さなアゴ。このような条件が整ってしまうとガタガタの歯並びになります。歯の大きさをコントロールする事は出来ません。しかし、子供であれば矯正装置を使ってアゴの成長をコントロールをする事がある程度可能です。では、成長期を過ぎた場合はどのように対応するのでしょうか?

骨格的な問題がある場合を除き、ガタガタの程度が小さい場合は、歯を抜かずに並べる治療が可能かもしれません。少しすき間が足らない場合や最終的な微調整で奥歯をコントロールしたい時には矯正用アンカースクリューを用いてしっかりとしたかみ合わせを作る事もあります。しかし、ガタガタの大きい場合には同じような治療計画では良いゴールが望めなくなります。ですので、歯を間引いて並べる方法が選択肢として出て来ます。いずれにしてもレントゲンを含む様々な資料を元に分析にかけて治療計画を作製します。

この写真では、ガタガタの程度は小さいですが、前歯が噛んでいません。そして上下の歯は前突傾向にありますので、これをただ並べると更に前突傾向が強くなってしまいます。このケースでは上下の抜歯と、矯正用アンカースクリューを併用して良好なかみ合わせ、そしてきれいなEラインの口元が実現しました。

20150407092447

開咬

 奥歯をしっかり噛んだ時に前歯が噛み合ずに隙間が空く状態を「開咬(かいこう)」といいます。奥歯しか当たらず、前歯で噛むことができないため色々な問題がおこります。まず食事の時前歯で物を噛みきる事ができず食べ物の咀嚼が不十分なため、消化が悪く胃への負担が心配です。次に前歯がすいているので“口が開いた状態”になりがちなことです。

 お子さんの口がいつも開いた状態だと気になさる保護者の方も多いのですが、口が無意識のうちに開くのは歯並びや口の周囲の筋力のアンバランスが原因だったり、鼻の病気がある為に起きる事が多いのです。本来は鼻がフィルターの代わりになっているので鼻呼吸が正常ですが、それができず口呼吸になっている場合には、空気中の菌やウイルスを体内に取り込みやすく病気になりやすくなったり、お口のトラブルの要因にもなります。耳鼻科で相談するのも良いでしょう。歯が原因であれば歯並びを治療しないと改善が望めないので、本人がいくら気をつけても限界がありますから周囲の方の理解が大事ですね。

 矯正専門医では歯並びの改善と同時に口の筋肉のトレーニングを行っています。

20150404185053

40代以降でも矯正はできる?

矯正といえばどのようなイメージがありますか?「学生、特に子供の治療」という印象を持っている方も多いのでは。実際に矯正相談にお越しの方からも「年齢的に遅すぎないでしょうか?」といった言葉を時々お聞きします。

 大人になってからでも矯正治療はできます。ただし、10代の頃と同じ条件で治療ができるとは限りません。一般的には矯正治療による「痛み」が幼少期と比べて大きくなると言われていますし、年齢が上がるほど歯の動きも遅くなっていくため治療期間が若干長くなるということもあるでしょう。また、若い頃には無かったお口の中の問題を既にかかえていることもありますので、治療ゴールを歯科医と患者同士でよく話合う必要がありますね。

 歯を抜けたままにしておくと、かみ合わせが変って歯が出て来たりすることもあります。他にも歯周病が悪化すると歯がグラついて抜け落ちたり歯列が乱れたり原因にもなります。このようにお口の問題は単独で起こる事より、影響し合ってトラブルを大きくしてしまうことが多くあります。こうした複雑な問題に、「ムシ歯」「歯周病」「歯並び」をそれぞれ専門にする複数の歯科医師が協力して解決する「包括的歯科治療」といった動きも広がっています。健康なお口を持続させるためには、早めの予防治療が大切ですね。

20150406144259