親離れした18才以降に親も知らず生えてくるので「親知らず」と呼ばれる一番奥の歯。矯正のために親知らずを抜歯することがあります。
親知らずはまっすぐ生えてくることもあれば斜めに生えてきたり真横を向いていて生えてこない場合と様々。斜めに生えてきたら食べカスが溜まりやすくなり手前の歯も一緒に虫歯になってしまったり、真横の場合だと常に前に歯を押している状態になるので矯正の妨げになります。そのため骨の中に埋まっている親知らずでも抜く必要があるのです。
骨を削らないといけない場合、抜歯後は1週間前後、頬が腫れることが多いです。傷が落ち着くまでは食事が摂りづらかったり口が開けにくかったりするので、日常生活に支障が出るのが心配な方はお休みの時を利用して抜歯されることをお勧めします。
しかし、親知らずは必ずしも抜かないといけないものではありません。影響のない場合や、矯正の過程で必要になる場合は抜かずに置いておきます。
親知らずの抜歯については主治医にご相談ください。
月別アーカイブ: 2017年10月
歯の裏側からの治療法
1970年代から世界に先駆けて日本で実用化された歯の裏側からの矯正は、一般に「舌側矯正」と呼ばれています。歯の表側につける矯正装置を裏側につけることによって、周りの人に気づかれず行える治療法で芸能人やモデルなど表立って矯正装置をつけられないような職業の人には大きなメリットがあります。しかしながら、舌側矯正には何点かデメリットもあるのでご紹介します。
①舌に違和感がある:個人差はありますが、常に舌が装置と触れるため違和感があったり、舌に装置の跡がつくことがあります。ただし舌癖の影響が出にくいメリットもあります。
②発音しづらい:舌に装置が当たるため人によっては慣れるまで発音がしづらく、「サ行」「タ行」「ラ行」や英語の「th」「l」「r」の発音に影響が出ます。ただし、次第に慣れます。
③歯磨きがしづらい:歯の裏側は凹凸していて、さらに自分では見づらいため表側より磨きにくく時間がかかります。しかし、表の装置よりも虫歯の発生率が低いという報告もあります。
④表側より費用が割高:歯の裏側は表側より凹凸があるため装置もそれに合わせたオーダーメイドとなります。さらに高度なテクニックを要するために費用が高額になります。
メリット、デメリットをよく考えてご検討ください。
アンカースクリューを利用した治療法
歯科治療でよく耳にする「インプラント」。矯正歯科治療でもインプラントを使用することがあります。
今回は比較的新しく一般的になってきた治療法についてお話しします。
矯正歯科治療用のインプラント「アンカースクリュー」ってどんなもの?
矯正歯科治療用に開発されたチタン合金の小さなネジのこと。そのネジを顎の骨に埋め込み、歯を動かす固定元として用いる治療法で「インプラント矯正」などと呼ばれることがあります。
この治療のメリットは?
①患者さんの負担軽減:取り付け取り外しが短時間で済む
②動かしたい歯だけ動かせる
③治療期間の短縮:固定元が強固になることで数本の歯をまとめて動かすことができる
④大臼歯・前歯の圧下:歯を骨の中に沈めるように動かすことが可能になるので歯の高さを変えることできる。
⑤外科矯正の回避:骨格上の上顎前突や下顎前突、開咬などの治療で外科矯正をしなくて済む可能性があります。
高いゴールを目指して日々進化している矯正歯科治療。
詳しくは当院へご相談ください。
ののやま矯正歯科医院
外科矯正
矯正歯科治療の目的は、歯並びを整えることだけではなく、上下の歯の噛み合わせを整えることも大切な目的の一つです。歯が綺麗なアーチを描いて並んでいたとしても、奥歯だけでしか噛めていなかったり、下顎が上顎よりも前に出ている状態では正しい噛み合わせとは言えません。
そこで上下の顎の骨の形、大きさ、位置の著しい以上(顎変形)を伴う場合、矯正治療だけでは良い噛み合わせを獲得することが困難であるため骨切り手術を併用します。
手術部位は上顎、下顎、下顎の先の部分(オトガイ)のいずれか、または全てだったりと人によって様々。10〜21日前後の入院を必要とし、手術自体は全身麻酔で行われます。口の中を切って行うので傷は目立ちません。手術後は切った骨をプレートとネジで止めています。術後2週間は顎間ゴムといって小さな輪ゴムで上下の歯を固定し動かないようにし、食事はミキサー食でスープ状にします。
退院後は術後矯正に入り、半年から1年後装置を外して保定期間に入ります。骨を固定しているプレートは、保定期間に入ってから1〜2年以内に撤去します。
費用については、「顎口腔機能診断施設」の認定を受けている施設に限って健康保険が適用されます。手術の費用は高額医療費や限度額適用認定の対象になるので、患者さんの健康保険に申請すれば一部返還されます。
「手術」と聞いて不安を感じられる方は多いと思いますが、安心して手術を受けられるように情報提供させていただくのでお気軽にご相談ください。
注意すべきアレルギーと矯正
矯正治療を始めるにあたって特に注意すべきアレルギーが2つあります。
1つ目は金属アレルギー、矯正ではニッケル、クロム、コバルトなどの金属が使われており、それらが皮膚や粘膜に触れることで炎症を引き起こすことがあります。対処法としては、大学病院などで腕などに金属を少量貼り付け炎症の有無を診るパッチテストを行いアレルギーが出る金属とでない金属の種類を見極めます。その結果をふまえ、矯正歯科医師が使用する装置を選択します。
2つ目はラテックスアレルギーです。ラテックスとはゴムの種類のことで、多くの歯科医院で使用するグローブ(手袋)に含まれます。金属アレルギーと同様、触れることで炎症が起きることがあります。対処法としては歯科医院にラテックスの含まれていないグローブを使用してもらうことです。
そのため初診時の問診での申告がとても重要になってきます。しかし患者さん自身がアレルギーを把握されておらず、装置をつけた後に症状が認められた場合は原因となる装置を除去し、治療計画や使用する装置の材料を見直す必要があります。
アレルギーや体質のことで不安なことがあれば適切に対処させていただきますので、ご相談ください。