矯正によって、歯は1ヶ月に約1ミリ動くと言われています。今日は歯が動く仕組みをご説明します。
下の画像をご覧ください。
この画像では、八重歯になっている糸切り歯を、ゴムとワイヤーを使って青い矢印の方向へ動かそうとしています。
この時、歯と歯を支えている歯槽骨をつなぐ歯根膜に力がかかるのですが、緑の部分は歯根膜が圧迫され血流が悪くなります。逆に紫の部分は、歯根膜が引っ張られ血流が良くなります。
すると、緑の部分では破骨細胞という骨を破壊する細胞が生まれ、骨が吸収されていきます。紫の部分では骨芽細胞という骨を造成する細胞が現れ、骨添加されていきます。
このように、骨が吸収される側に歯が移動し、移動した側には骨が作られる。という事を繰り返し歯は少しずつ移動していきます。
月別アーカイブ: 2019年9月
痛みの種類
今日は歯の痛みの種類のご紹介をします。
❶矯正による痛み:矯正装置を装着したばかり、使い始めたばかり、装置に調節を入れたばかりの場合は歯が動く事による痛みの可能性が高いです。通常1週間前後で落ち着くので様子をみましょう。痛い間は柔らかい食べ物を食べましょう。
❷虫歯:歯に穴があいてると中にある神経が刺激され痛みが生じます。
❸知覚過敏:何らかの原因で冷たいものがしみることがあります。矯正の調節を行うと知覚過敏の症状が出る事はよくあります。
❹強く噛んで負担がかかってる:全部の歯でバランスよく噛めてなく、特定の歯に負荷がかかっていると痛みが生じます。
❺歯茎に炎症が起きている:歯茎が細菌感染を起こし、出血や化膿して膿が出る事があります。
❻歯の根が露出している:歯周病や何らかの原因で歯茎が下がると歯茎の根が出てきてしまいます。歯の根の表面の組織は知覚過敏の症状が出やすいです。
いずれの症状も患者様ご自身では判断できないこともあると思います。かかりつけの歯科医院にご相談ください。
抜歯後の痛みが強い
矯正治療では抜歯をすることがあります。
抜歯後の注意点としては、傷口を直接刺激しないようにプラークを除去してお口の中を清潔に保つ事と、強くブクブクうがいをしすぎない事です。
通常抜歯後は麻酔が切れた後は痛みが出ますが、徐々に落ち着いていきます。抜歯した部位は血餅と呼ばれるかさぶたができ治癒していきます。しかし、傷口を触りすぎてしまったり、強くブクブクうがいをしすぎてしまうと血餅が剥がれてしまい、ドライソケットという状態になります。骨が露出した状態になり、かなりの痛みと悪臭がします。重症化してしまうとその部分の骨が腐り溶けてしまいます。
抜歯後当日は、身体の血流が良くなってしまうと、血餅が作られにくくなってしまうので、長時間の入浴や激しい運動、飲酒は控えましょう。喫煙も傷の治りを悪くしてしまう原因になるので傷口がしっかり治るまでは禁煙する事をお勧めします。
抜歯後の痛みがどんどん強くなったり、傷の治りが悪い場合は、もう一度抜歯した歯科医院を受診しましょう。
大臼歯抜歯
矯正を始めるにあたって、第一大臼歯や第二大臼歯を抜歯する場合があります。奥歯の大きな歯を抜いて食事などに支障はないのか心配される方もいらっしゃると思います。今日は大臼歯抜歯についてお話しします。
大臼歯抜歯の一番の目的は大きなスペースの確保です。大きな歯を抜く分、大きなスペースを確保することができます。ガタガタが強く大臼歯抜歯だけではスペースが足りない方は更に小臼歯抜歯も併用することもあります。
そして親知らずが正しい向きにある場合、大臼歯抜歯をしてスペースができると、さらに奥に親知らずが生えてきます。親知らずは第三大臼歯とも呼ばれ、大臼歯抜歯をする方は、この親知らずにも部品をつけて並べて、抜いた大臼歯の代わりにすることが多いです。そうすることで元々2本だった大臼歯の本数は2本と変わリません。
親知らずの有無や向きなど、お口の中の状態は人それぞれ違います。不安なことや気になることがある方は、お気軽にご相談ください。