矯正歯科医が、子供の歯並びをみるポイントは、このままだと将来永久歯にはえかわった時にどのような歯並びになるのか、ということです。小さなお子さんのお口ですが、実に様々な情報がよみとれます。「どうせ抜けて生え替わる歯だから」といって軽く考えないで、気になることがあれば矯正歯科医やかかりつけの歯科医に相談して下さい。今すぐの治療ではないかもしれませんが様々な習癖や舌の動かし方は、歯並びや呼吸の仕方と密接に関係があります。今後へのアドバイスを得ておくことは治療のベストタイミングを逃さないためにもお勧めしたいことです。
4〜6歳の早めの治療を考える代表例は、受け口とこうさ咬合(あごがずれているかみ合わせ)でしょう。近年増えているおしゃぶりや指しゃぶりによる開咬(奥歯が当たっても前歯にすき間が出来るかみあわせ)も気になるところですが、いづれもクセをやめたり簡単な装置を使用することで改善するケースもあります。
ののやま矯正歯科医院
奥歯は当たっているのに前歯が噛めない状態を開咬(かいこう)といいます。意識しないと口が開いたままになっている、という子供によくみられます。原因としては口で呼吸をする環境、舌で歯を押し出すようなクセ、乳幼児期の指や物ををしゃぶるクセ、顎の関節の問題などがあります。
開咬の場合は口が開いていることがよくありますので、呼吸の仕方も気になる所です。鼻は湿っており粘膜に覆われて毛もあることで、冷たい外気を温め、空気中のバイ菌をキャッチして体内に取り込まないようにするフィルターの役割を果たしているのですが、口で呼吸すると残念ながらこのような効果はあまり期待できません。鼻炎や扁桃肥大が原因で口呼吸をしている事もありますが,その時は耳鼻咽喉科の治療も必要になるでしょう。
指しゃぶり等のクセが5〜6才以降も続いているなら、積極的な対応が望ましいでしょう。矯正治療のアプローチの一例としては、指しゃぶりを防止する様な装置をお口の中につけたり、口の周りや舌の筋肉を鍛えるようなトレーニング等があります。
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保護者の方にとって、小中学生のお子さんの歯の生え変わりが順調かどうかは気になる所です。
あごが小さく歯が大きい現代っ子の中には、あごの骨の中で歯が渋滞を起こして、出るはずの歯がひっかかって出て来ないこともあります(埋伏歯と言います)。様子をしばらく見たけれど生えて来なかったり、埋まっている歯が他の歯を傷つけそうな時には、矯正治療を考えた方が良いでしょう。
この時に大活躍するのがデンタルCT。2次元の平面写真では正確に特定出来なかった埋伏歯の位置を3次元で正確に捉える事が出来ます。危険な状態をいち早く調べたり、必要最小限の処置で、埋伏歯にアプローチできるようになります。患者さんの負担がぐっと軽くなるでしょう。
歯肉(場合によっては骨も)を少し切って、自力では萌出しない埋伏歯に装置を付けて矯正器具で引っ張りだします。写真のCT画像は上顎に2本の埋伏歯があります。このままでは自然に生えてくる見込みがなく、まずは残っている乳歯を抜歯し、1本ずつ牽引する治療になりました。
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毎年11月8日は「いい歯の日」。1993年に日本歯科医師会が制定したもので、8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保とう)の取り組みの一つです。
歯は健康の源と言われています。残念なことに年齢を重ねるといろいろな原因から歯を失いがち。今後ますます進む高齢化社会、いつまでも元気でいるために重要な要素が残存歯数。自分で歯みがきをしたり、物を噛むことなどは脳へ刺激を与え認知症予防につながることが証明されています。歯がほとんどないのに義歯(入れ歯)を使用していない人は、20本以上歯がある人の1.9倍も認知症発症のリスクが高いこともわかっています。たとえ8020が達成できなくても、きちんと噛み合い、きちんと噛むことができる義歯などで噛める状態にすることでも認知症発症リスクは4割抑制される可能性もありますので、環境を整えることは非常に大切です。
厚生労働省の調査結果では平成17年と23年を比較すると8020達成者は約14%増加しています。定期的にかかりつけ歯医者にも行き、歯みがきの仕方、生活習慣、お口の健康の見直しのためにも指導を受けると良いでしょう。歯を大切にする意識がもっと増えていくと嬉しいですね。
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広島の矯正歯科専門『ののやま矯正歯科医院』のブログ