矯正治療中の妊娠や出産

成人の方の場合、歯を動かすのにかかる期間は平均2年程。成人の矯正が珍しくない昨今、矯正治療中に患者さんが妊娠や出産をされる事はよくあります。分娩の際ブラケットと呼ばれる装置が付いていても何ら問題はありません。出産の前後来院をお休みをされるケースもありますが、休まれた分治療期間が少し延びます。これは医学的な見地から治療しないのではなく、出産で忙しい為お休みするということです。逆に治療の間隔はだいたい月に一回なので出産の前後に治療をされタイムラグなく治療を進めるケースもあり、どうされるかは患者さん体調や環境を考慮しながら決めていきます。
治療開始時には精密検査の為に頭部のレントゲン撮影が必要ですし、中には抜歯が必要な事もありますので、妊娠している可能性があるようでしたら治療の開始は延期した方が良いでしょう。プライベートな問題ではありますが、医療機関においてお話しされた内容は守秘義務がありますのでちゃんと保護されます。不安や心配がある場合は、安心してご相談いただければと思います。

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それは単なる「くせ」ですか?

指しゃぶりをする、上下の歯の間から舌を突き出している、下唇をよくかんでいる、気づいたら口をポカンと開けている、発音が舌足らずではっきりしない、固いものを食べるのをいやがる、しっかり咬まずにすぐ飲み込む、いつもほおづえをついてテレビを見ている。。。あなたのお子さんにはこんな「くせ」はありませんか。
実はこれらの症状は、歯並びの問題点と密接に関わっていることがあります。いつも口を開けているケースでは、現在の歯並びやかみ合わせの悪さ、慢性の鼻炎、アデノイド、扁桃炎、口の周りの筋肉が弱いなど複数の要因の可能性があります。また、将来の悪い歯並びにつながったりすることもあります。特に舌で前歯を押し続けるようなくせは矯正治療中であっても悪影響を及ぼしますので改善が必要です。
よい歯並びはよい環境があってはじめて完成します。矯正治療では矯正装置を使うことと併せて、舌や口周りの筋肉トレーニングを行い“歯”の治療だけでなくよいお口の環境作りにも努めています。

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気になる前歯だけを治したい

歯並びで気になるのは前歯だけ。前歯だけに装置をつけて治したい。こんな声を時々お聞きします。そうですね、出っ歯や八重歯の方は飛び出しているその歯だけを引っ込めればいいと考えられるのは自然な事です。そのほうが負担も軽そうです。でもちょっとお口の中を見ながら考えてみましょう。歯は本来、自然によい位置に生えるようになっています。しかし歯が飛び出していたり、はみ出ていたり、そうなるのには相応の原因があります。前歯だけ引っ込めたくても、そのスペースがないから飛び出してしまっているわけです。前歯を下げるためには奥歯にも動いてもらうことが必要です。
全体のバランスが整ってないとせっかく治しても時間が経つとまた元に戻った、なんて事になりかねません。お口の中の状況によっても適切な処置は異なります。小学生の生え変わり時の「前歯だけ」の治療も、長い目で見て慎重に考えたいものです。
気になる前歯だからこそ“ずっとキレイ”を大切にしたいですね。

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今は乳歯。将来の歯並びは?

生え変わりを待たなくても乳歯の段階から将来の歯並びや噛み合わせが予測が出来ることもあります。
例えば乱杭歯(ガタガタの歯並び)。幼児期の乳歯の時に歯並びがキレイにそろっているのは実は要注意。永久歯は乳歯よりもかなり大きいため、乳歯の時期には歯と歯の間にすき間があるくらいがちょうど良いのです。
他の例では、下の前歯が上の前歯より前に出ている反対咬合(受け口)。あるデータによると2才の反対咬合の自然治癒率は約50%、3才になると自然治癒率は6%程になるといわれてます。最近ではシンプルな装置で治療が可能なため、反対咬合の改善を幼児のうちから始める方もいます。
歯並びや噛み合わせを良くするのが矯正治療ですが、お口の中の状態によって最適な治療時期は違ってきます。矯正治療は短期間では終わらないのが一般的です。ご本人様の協力とご家族のサポートも必要ですので、お子さんの精神面の成長も考えてスタートするのが良いでしょう。

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乳歯の早期脱落の影響

乳歯が虫歯やケガのため早く抜けたり、1本の大きな永久歯が狭い所に生えてきたため隣の乳歯が早期に抜けてしまう場合があります。
抜けてしまうと一時的にすき間があるように見えますが、隣の歯が寄ってきますので、本来その場所に生えてくるはずの永久歯のスペースがなくなってしまっています。そうすると将来その位置に生えてくる歯がはみ出したり、その歯が骨の中で挟まって動けなく(萌出できなく)なる可能性があります。また、乳歯に限らず抜けた歯を放置しておくと、隣の歯への影響だけでなく噛み合わせの相手の歯(上下)が不必要に伸び出してくることがあります。
 矯正治療では歯の交換終了まではスペースを維持し続ける方法があります。抜けた所だけ部分的に装置を付けて隣の歯が寄ってこないようにしたり、子供の場合には脱落部位だけでなく全体的にみて、今後他の永久歯もきれいに生える余地が無いようであれば積極的にあごの大きさを整えていくことも検討する必要があるでしょう。

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