”犬歯”と呼ばれる真ん中から3番目の歯がスペース不足のため、はみ出して生えている状態を一般的に八重歯と呼びます。正しくは「叢生(そうせい)」と言います。
犬歯は動物でいえばキバにあたる太くて丈夫な歯なので、本来はかみ合せのキーとなり他の歯の過大な負担を軽くする役割があります。しかし犬歯が飛び出してかみ合わせに参加していないのは、チームの主力メンバーが欠けている様な状態で、歯の長期性を考えると不安材料となる事があります。気になる症状としては、食事や会話中に上の唇に歯がひっかかって傷になったり、歯ブラシが届きづらいため虫歯や歯周病になりやすい事があげられます。ガタガタが強いと、歯をきれいに並べた後に隠れていた虫歯が見えてくることがあります。歯並びを整えるのと同時に虫歯の治療や予防にも力をいれましょう。
こちらのケースは「重度叢生」などの問題がある成人です。治療期間は約2年で、小臼歯の便宜抜歯をしてマルチブラケット装置と歯科矯正用アンカースクリューを使って治療を行いました。歯並び、噛み合わせ、歯肉などいずれも改善し、動的治療を終了して2年経っても良好な安定性を確認できました。