矯正歯科治療の目的は、歯並びを整えることだけではなく、上下の歯の噛み合わせを整えることも大切な目的の一つです。歯が綺麗なアーチを描いて並んでいたとしても、奥歯だけでしか噛めていなかったり、下顎が上顎よりも前に出ている状態では正しい噛み合わせとは言えません。
そこで上下の顎の骨の形、大きさ、位置の著しい以上(顎変形)を伴う場合、矯正治療だけでは良い噛み合わせを獲得することが困難であるため骨切り手術を併用します。
手術部位は上顎、下顎、下顎の先の部分(オトガイ)のいずれか、または全てだったりと人によって様々。10〜21日前後の入院を必要とし、手術自体は全身麻酔で行われます。口の中を切って行うので傷は目立ちません。手術後は切った骨をプレートとネジで止めています。術後2週間は顎間ゴムといって小さな輪ゴムで上下の歯を固定し動かないようにし、食事はミキサー食でスープ状にします。
退院後は術後矯正に入り、半年から1年後装置を外して保定期間に入ります。骨を固定しているプレートは、保定期間に入ってから1〜2年以内に撤去します。
費用については、「顎口腔機能診断施設」の認定を受けている施設に限って健康保険が適用されます。手術の費用は高額医療費や限度額適用認定の対象になるので、患者さんの健康保険に申請すれば一部返還されます。
「手術」と聞いて不安を感じられる方は多いと思いますが、安心して手術を受けられるように情報提供させていただくのでお気軽にご相談ください。