開咬の原因と対策

奥歯は当たっているのに前歯が噛めない状態を開咬(かいこう)といいます。意識しないと口が開いたままになっている、という子供によくみられます。原因としては口で呼吸をする環境、舌で歯を押し出すようなクセ、乳幼児期の指や物ををしゃぶるクセ、顎の関節の問題などがあります。

開咬の場合は口が開いていることがよくありますので、呼吸の仕方も気になる所です。鼻は湿っており粘膜に覆われて毛もあることで、冷たい外気を温め、空気中のバイ菌をキャッチして体内に取り込まないようにするフィルターの役割を果たしているのですが、口で呼吸すると残念ながらこのような効果はあまり期待できません。鼻炎や扁桃肥大が原因で口呼吸をしている事もありますが,その時は耳鼻咽喉科の治療も必要になるでしょう。

指しゃぶり等のクセが5〜6才以降も続いているなら、積極的な対応が望ましいでしょう。矯正治療のアプローチの一例としては、指しゃぶりを防止する様な装置をお口の中につけたり、口の周りや舌の筋肉を鍛えるようなトレーニング等があります。

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ののやま矯正歯科医院

CTで見る埋伏歯

保護者の方にとって、小中学生のお子さんの歯の生え変わりが順調かどうかは気になる所です。

あごが小さく歯が大きい現代っ子の中には、あごの骨の中で歯が渋滞を起こして、出るはずの歯がひっかかって出て来ないこともあります(埋伏歯と言います)。様子をしばらく見たけれど生えて来なかったり、埋まっている歯が他の歯を傷つけそうな時には、矯正治療を考えた方が良いでしょう。

この時に大活躍するのがデンタルCT。2次元の平面写真では正確に特定出来なかった埋伏歯の位置を3次元で正確に捉える事が出来ます。危険な状態をいち早く調べたり、必要最小限の処置で、埋伏歯にアプローチできるようになります。患者さんの負担がぐっと軽くなるでしょう。

歯肉(場合によっては骨も)を少し切って、自力では萌出しない埋伏歯に装置を付けて矯正器具で引っ張りだします。写真のCT画像は上顎に2本の埋伏歯があります。このままでは自然に生えてくる見込みがなく、まずは残っている乳歯を抜歯し、1本ずつ牽引する治療になりました。

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歯は健康の源

毎年11月8日は「いい歯の日」。1993年に日本歯科医師会が制定したもので、8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保とう)の取り組みの一つです。

歯は健康の源と言われています。残念なことに年齢を重ねるといろいろな原因から歯を失いがち。今後ますます進む高齢化社会、いつまでも元気でいるために重要な要素が残存歯数。自分で歯みがきをしたり、物を噛むことなどは脳へ刺激を与え認知症予防につながることが証明されています。歯がほとんどないのに義歯(入れ歯)を使用していない人は、20本以上歯がある人の1.9倍も認知症発症のリスクが高いこともわかっています。たとえ8020が達成できなくても、きちんと噛み合い、きちんと噛むことができる義歯などで噛める状態にすることでも認知症発症リスクは4割抑制される可能性もありますので、環境を整えることは非常に大切です。

厚生労働省の調査結果では平成17年と23年を比較すると8020達成者は約14%増加しています。定期的にかかりつけ歯医者にも行き、歯みがきの仕方、生活習慣、お口の健康の見直しのためにも指導を受けると良いでしょう。歯を大切にする意識がもっと増えていくと嬉しいですね。

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スタディークラブでの講演会

当院での矯正治療は、ロスフィロソフィーに則った治療を行っております。どんな治療なのか という説明はかなり長くなるので、リンク先を読んでみてください。先日(10月11日、12日)にRoth Study Club Japan 20周年記念特別公開セミナーが行われましたので、クラブメンバーとして参加致しました。当院スタッフからも、技工士さんが二人程勉強しに来てもらいました。
普段は、ほぼ外部に公開せず、勉強会を行っておりますので、外部の先生方をお呼びするのは、こういった周年記念での公開セミナーしかありません。個人的には、毎年のように公開セミナーがあってもいいじゃないかと思ってます。
セミナーの内容としては、あまり私達の治療方法に馴染みが無い先生方にもなるべく分かりやすく、ベーシックな所から順序よく説明するセッション に始まって、将来的な方向性まで解説していく組み立てになって居りました。広島の若手の先生がブログに受講した感想を書いてくれていたので、ご紹介します(花岡矯正歯科クリニック)。ちょっと分かってもらえたみたいで嬉しい!

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アレキサンダー先生講演会

院長の野々山大介です。先日は、アレキサンダー研究会 の講演会に行って参りました。現代の歯科矯正治療の礎を築いてきた第一人者でもあるAlexanderですが、ご高齢であることを感じさせないトークでした。今回の講演会テーマは“Difficult and Unusual”でした。多くのケースがUnusualである とも言えるのですが、埋伏歯 impacted tooth、先天性欠如歯 congenital missing、非対称 dental asymmetry など、専門医であっても、対応に苦慮する症例についてでした。とても綺麗に治療をされていて、長期間安定しているものであったり、問題が残っている場合には、この失敗をしない為のアドバイスがあったり と得られるものも多かったです。矯正治療には色々な流派が在りますので、どの部分を重要視しているかかなり異なるため、不正咬合に対する分析方法から治療方法まで、随分と異なります。一方で健全な機能、審美性、恒常性についてはどの流派であっても高めるべく努力を行っております。違う治療をやっているようでも、究極の到着点は近いのかも知れません。

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歯が小さすぎる時には?

上下の歯がうまくかみ合うように、それぞれの歯にはバランスの良い形があります。しかし時々歯の形に異常が起こる事があります。小さすぎたり、隣の歯とくっついてたり、時には生まれつき歯が無い事もあります。デメリットとしては、噛み合わせにズレが出る、審美的な違和感、などがあります。

矯正治療で歯並びを整える時には色々な対処法があります。歯が小さい時には、少しだけ歯の形を修整して噛み合わせを作った方が良いこともあります。歯が欠損している時には、奥歯を前に寄せて隙間を埋めたり、人工の歯で補う治し方もあります。治療開始時には精密検査をして全体のバランスを考えながら慎重に計画を立てます。

写真の2番目の歯は形の異常とされる円柱歯と呼ばれる小さな歯です。しばしば中心から2番目の歯に見られます。(中心から2番目と5番目の歯には先天性欠如が他に比べて高確率で起こります。)

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顎関節を考えた矯正治療

矯正治療を建物を建てる事に例えるなら、基礎に相当する部分が顎関節(あごの関節)、建物部分が歯並びかみ合わせといわれてます。家やビルを建てる時にはまずは基礎がしっかりしていることが大切です。同じように、歯並びや噛み合わせのより良い維持の為には、顎関節の健康状態が大切な要素で、たとえ歯をきれいに並べたとしても、顎関節が正常または安定していなければ、良い噛み合わせを作り上げることは非常に困難といえます。

このように大切な顎関節ですが、残念ながら直接目で見る事は出来ません。そのため、あごの開け閉めの運動の仕方をパソコンで解析したり(顎運動解析装置)、デンタルCT(3次元のレントゲン画像)、MRI検査などで多角的に見る事になります。

矯正歯科の中でも、あごの現状をリアルに把握して、あごをより良い状況に導いた上で歯並びの治療をスタートする方法ではRoth Philosophyを実践しています。

Roth Philosophy について

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インコグニト™勉強会

院長の野々山大介です。先日は、インコグニト™ の勉強会に行って参りました。見えない矯正治療で代表的な舌側矯正もあらゆる種類が世の中には溢れておりますが、その中でもいち早くデジタルでブラケットやワイヤーのカスタムデザインを行ったのがインコグニト™です。
利点としては、非常にコンパクトに設計されているので、違和感が小さい。(そのため、別の問題が出て来る)正確に歯の排列が行われる。(思ったように歯が動くとは限らない)理想的な歯軸傾斜が得られる。(理想的な傾斜で歯根がはみ出る事もある)虫歯のリスクが少ない。(これは確かにそう思う)装置が壊れ難い。(対合歯と咬まなければ)などと多いのですが、欠点も多いです。日本の歯科技工士法の絡みで、保険で使う事は出来ません。制度の問題なので、将来的には変わる可能性はあります。その他の欠点として、思わぬ動きが特別に多いという感触が在ります。特別小さいスロットを使っている為に起こる事ですから、メリットの交換条件かも知れません。より望ましい治療結果が得られるよう、勉強会ではシステム上の問題点や出やすい問題の対処方法などを学びます。

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CTを使った精密検査

矯正治療は精密検査からスタートします。歯やアゴの骨の状態を緻密に把握する事が、より良いゴールと安定性への第一段階と言えるでしょう。

精密検査で重要な物の一つにレントゲン検査があります。一般的な検査では、1枚のフィルム上に2次元の画像を映すセファロ撮影、パントモ撮影などがあります。

その上更に正確で多くの情報が得られるものとして、デンタルCT(立体3次元画像)があります。医科用のCTもあるのですが、歯科領域に特化したデンタルCTでは(口腔の領域に限っていえば)患者さんの被爆量は約1/10ほどで、より精密な画像が得られます。一度の撮影で、その後はパソコン上で様々な角度からの画像を確認出来ます。埋まっている歯の状況、骨の状態、顎関節の状態、鼻腔の状態、など多くの情報は、抜歯、矯正用アンカースクリュー、補綴インプラント植立及び確認(外部からのCT撮影依頼)、他専門機関への紹介など、診断時やその後の治療をより緻密に行う上でとても役立ちます。

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大人の歯がヘンな所から生えてきた

歯が他の歯からはみ出して生える事を異所萌出と呼びます。

原因の一つに乳歯の虫歯があげられます。虫歯に原因して根っこに膿が溜まっていたりする場合、その後ろに控えた大人の歯は、膿を避ける方向へ進みます。その結果生え変わる場所とは違う所から永久歯が生えてきたりします。

他には大人の歯が骨の中にいる段階で、既に位置がずれているといった場合には乳歯に原因せずにあらぬ所から生えてきます。通常、乳歯の下にある永久歯が乳歯に向かって生えてこようとした時に乳歯の根っこを吸収していき、やがて乳歯が抜けるわけですが、根っこが吸収されないと乳歯は抜けずに残り、後続永久歯が異所萌出という状態になります。

乳歯の段階で虫歯が多いと、そうでない場合に比べ永久歯の歯並びは悪くなります。矯正治療では、生え変わりをコントロールする早期治療のなかで問題を解決して行きます。現代っ子は顎が小さくスペース不足の事が多いですから、出来るだけ虫歯にならないようにしたいですね。

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